鈴木さんのブログを読んで、いろいろ考えるところがあった。
企業内SNSの話をしながら考えたこと | Easy-WorkStyle

鈴木さんのいう「研究会の場」には、私も参加していて、社内SNS導入の経緯や取組を伺ったうえでこのブログを拝読しているので、いろいろ考えるところがあった。

鈴木さんはブログの中で、

  1. 会社組織における「評価」が個々人の自発的な創造行為を阻害する
  2. オープンな雰囲気を作りにくい大企業では社内SNSの盛り上がりは難しい
  3. 日本人の根底にある「話し合い重視の風土」を現代に活かせるようにしなければならない

と3つの要点について話されている。

360度評価が評価制度の悪習を解決するのでは

一つ目の、評価の話についてはとても共感を覚える。

はっきり言って、一般的な評価制度は完全に破綻していると言って差し支えない。

確かに、評価のガイドラインがあるし、評価観点を盛り込んだ評価シートもあって、様々な工夫がされていることが多いが、結局評価なんて印象でしかないと思う。評価されるだけの立場から、評価もする立場に変わったが、その前後で認識は変わらない。だからといって印象で決めることが必ずしも悪いわけでもない。下手に定量化するともっと悲惨なことになる。問題なのは、一部の人間の印象で決まることなんじゃないだろうか。上司というただの人間が配下の複数人の人間について、印象で評価を決めていて、やはり無理がある。

そこで、私は以前から360度評価制度に興味がある。上司からだけではなく、同僚から、後輩から、あるいは他部署からの評価を総合して人事評価として扱うものだ。接点が多いほど、評価比重が高くなるとか、より評価が高い人からの評価は高くなるといった加重要素を加えた制度等、いろいろな形があるそうで、かのホリエモン時代のライブドアでは実践されていたそうだ。

元々はより納得感のある評価制度とはなんだろうかと考えている中で、360度評価制度に興味を持っていたのだが、鈴木さんのブログで書かれている、評価が個人の自由を奪うという問題の解決策になるのではないかと感じた。つまり、上の人間から一方的に評価されているから、その視線が気になるのであって、みんなから評価されるのであれば、それって普通の人間関係と同じことになるんじゃなかろうか。言ってみれば、「評価のソーシャル化」だ。

大企業向け社内SNSはグループ機能が大事

2点目もとても同意。

最近、社内SNS導入に成功した事例を聞く機会に恵まれているが、うまくいっても全員の1〜5%の人が恒常的に書き込んでいる程度なのだ。もちろん、1000人〜10000万人いる大企業で、その割合が恒常的に書き込むというだけで十分凄い。導入・推進には、大変な努力があったと聞いており、簡単に真似できるものではない。何もしなかったら、まったく閑散としてしまうのが社内SNSだ。そういう企業もある。

でもうまくいってもその程度というのはやはり寂しい。

私は大企業内でのセクショナリズムは、自分たちが思っている以上に強く、根深いものだと考えている。人が一度に維持できるネットワークには限界があり、その範囲をベースに役割分担を整理しているのが組織であり、企業が大きくなって社会と化していく中で、セクショナリズムが強くなって行くのは当然のことだと思う。

その意味で、youRoomは企業内の新しいコミュニケーションツールとしてはとても導入しやすい。Roomというグループ単位が前提になっており、組織の壁に沿って形作られた心の壁を壊すこと無く導入できる。それではただの掲示板では?という意見もあるだろうが、文字数制限が、想像を遥かに超えた効果を生み出すことができる。Twitterが知らしめた、140文字がもたらすアフォーダンスの力は絶大で、youRoomを使うことでその効果を享受することができる。

とはいえ、youRoomはSNS要素が少なく、ソーシャル効果を企業内にもたらすにはやはりもの足りない。グループ機能をベースに、個人同士のつながりを可視化できる何かが必要と感じている。世の中の社内SNSアプリはグループ機能が脇役なのばかり。そこは個人間のつながりが主となるfacebookとは違わなければいけないんだと思う。

また、鈴木さんのお話の中で、業務上書き込みせざるを得ない状況を作る(日報等)というお話があったが、これも同感で、社内SNSは業務とは違うんだということをいつまでも言っていてはいけないと思う。もっと業務情報をソーシャルの世界に引き込み、活用していく手段が大切で、そこまでできて、企業内SNSが本当に成功する形になるのだと思う。SalesforceChatterが提唱する、EnterpriseSocialはそのイメージに近く、注目している。